個室に乱入!笑えるほど図々しいカザフスタン鉄道の車掌(カザフスタン鉄道乗車記その2)

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今回の旅ではアルマトイカザフスタン)からタシケントウズベキスタン)までの国際夜行列車を利用しました。大草原の中800kmを17時間かけて走る列車です。


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部屋はこんな感じの二人個室。私のベットは上段で、下段はロシア系カザフスタン人のおばさん。アルマトイの空港で働いており、帰省で途中のタラズという町に行くそう。ベットの出し方やはしごのかけ方など勝手が分からない私に親切にしてくださいました。



深夜2時頃、列車はタラズの駅に着き、このおばさんとはお別れ。始終ロシア語だったのですが、最後に英語で「Have a nice trip」といってくれました。



さて、ここからは2人個室を一人で占有できます。途中駅から同室客がいないことはPassengersロシア鉄道のページで確認済みでした。誰かと同室もいいけど、やっぱり残り13時間の間、個室を独り占めできるのは嬉しいです。


ところが・・・


タラズを出発してしばらくして、ベットで眠っていると、突然扉がガラリと開き、通路から光が漏れてきました。


なんだなんだ、と思って体を起こすと、朝青龍そっくりの体格のおっさんが。パジャマ姿でしたが、よくみると車掌さんでした。(カザフスタンでは一車両につき一人、専属の車掌が乗っている)

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こんなかんじ。



何の用かと思ったら、下段のベットを指さして


「ここで休ませてもらう」ジェスチャー


なんやねん。乗務員の休憩室は椅子しかないそうで、私の部屋の下段ベットが空いたのをよいことに、そこで休もうと思ったらしいのですが、それにしても客室に勝手に入るなんて図々しすぎないか。


さらに、「充電コンセントを使っていいか」と言って、私のスマホをコンセントから抜いて、渡してくるのです。


部屋の中にコンセントはひとつしか無く、先ほどまで同室の女性が使っていたので、彼女が降りてからやっと自分の携帯の充電をはじめたのですが、その直後に・・・。というか、おまえは乗務員やろ!!



そして、「構わず寝ろ寝ろ」と言ってジェスチャーしてきます。
なんだい!おまえが入ってきたから起きたんだろうが。



さらにこの車掌、ベットに入るなり、
大音量で音楽を聞きながら、寝始めた!


ほんまになんやねん。怒りというよりは、むしろあまりの図々しさに笑えてくる。



まだまだ続きます。


翌朝起きてみると、はしごが取り外されている!?


お相撲さん車掌の体格がよすぎるために、寝る際に体にあったってしまうので、はしごを勝手に取り外したみたいですが、一体上段のベットからどうやって降りるんねん!結局9時まで、この車掌は爆睡。ああ、食堂車に行きたかったのに・・・


9時ぐらいになると、お相撲さん車掌はむくっと起き上がってどこかへ行ってしまい、これでようやく一安心。



ところが車掌がなぜか再び部屋にやって来た!今度は制服に着替えていましたが。そして



私が使っていたボールペンをふいっと取り上げると、勝手にそこら辺の紙に試し書きするではないか!


ははーん、多色ボールペンがめずらしいのだなぁ、と思って見ていると


なんとコイツ!自分の胸ポケットに私のボールペンを入れおった!!そしてニッコっと、とびっきりの笑顔に。。。


おい!強奪かよ!!


もうめんどくさいし、そんなに気に入ったならどうぞ、という気になったので、「プリミーチェ モイ パダーラク (あげる)」というと、また満面の笑みで握手を求めてきます。しかしこの図太い神経、遊牧民らしい(笑)



まあボールペンごときにこだわりはないし、喜んでくれたならそれでよかったと思います。結局このお相撲さん車掌は、国境で私をいろいろフォローしてくれましたし。もしみなさんがカザフスタンで鉄道に乗ることがあったら、広大な大地を持つこの国にふさわしい広い心と、たくさんの色ボールペンをもっていきましょう!



以上、カザフスタン鉄道乗車レポートでした。


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