今回の旅ではアルマトイ(カザフスタン)からタシケント(ウズベキスタン)まで夜行列車を利用しました。途中キルギス領にも入り、800kmを17時間かけて走ります。今記事は乗車記その③国境編です。
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長かった旅も終盤に近づき、終着まであと2時間というところまで来ました。最後の最後で、国境という難関が待ち受けています。
車窓の外には見渡す限りの大草原が広がります。何千年の昔から、たくさんの遊牧民が西へ東へと駆け抜けていった大地です。ちなみに黒い点々は放牧されたヤギ。
やがて、列車は鉄条網と有刺鉄線で囲まれた駅に停車します。カザフスタン側の国境です。到着とともに機関銃をもった兵士が数十人、乗り込んできます。
寝台個室の扉を全開にし、スマホを鞄の中にしまうように指示されました。そして、荷物チェックと滞在登録証の提出。パスポートチェックと写真撮影、ロシア語(まったく英語が通じない)での質問。
とっても緊張するし疲れます。なにせ中央アジアの国々はアジアからヨーロッパにかけての密輸ルートなので、陸路国境越えが大変なのです。さらに、列車内にでっかいシェパードが乗り込んできて、部屋の中や荷物を嗅ぎ回ります。麻薬探知犬です。
こんな感じのやつ
私は犬に好かれる質ですが、今回ばかりは寄らんといて!という感じでした。ズボンに鼻を当ててクンクンしてくるのです。ああ、吠えたらどないしよう。
無事カザフスタンの出国スタンプが押されてほっとひと安心。しかし乗客全員の審査が終わるまで列車は停車。兵士は車内をうろうろしているし、自分の部屋から出てはいけません。窓の外は外で物騒だし見ていてもおもしろくない。ああ、はやく出発しないかな。。
50分ばかりしてのろのろと列車が動き出します。この時点でこの列車はカザフスタンを出国したものの、ウズベキスタンには入国していない状態。線路脇には相変わらず有刺鉄線が張り巡らされ、数十メートルおきには監視塔。そして武装した兵士。
国境の川を渡るとウズベキスタンの領土。ウズベキスタンの検問所までも有刺鉄線の中を進みます。ああ、ヨーロッパでの国境越えはあんなに簡単だったのに!
しばらくしてウズベキスタン側の検問所で再び停車。そして機関銃を手にしたウズベキスタン軍の兵士が乗ってくる。とても緊張しました。
ウズベキスタンの入境審査の人はとっても優しい人でした。英語はそんなにできないのだけれども、まず「ウェルカム トゥ ウズベキスタン!」といって握手。どしどしと入ってきて勝手にベットに座るカザフスタンの国境係員とは大違い。
まず「鞄の中の物をすべて出して」といわれた(おそらくマニュアルがある)のですが、中身は一向に見ないで、「日本のどこに住んでいるのか」、「日本はどういう国か」、「ウズベキスタンの歴史に興味はあるか」など、全く関係の無い話をしてきました。
外国人旅行者が珍しいようで、始終笑顔。とってもフレンドリー。はじめに会う人によってその国の印象は変わるというけど、なんだかウズベキスタンがとっても楽しみになってきました。
結局聞かれた重要なことは、「2000USD以上持っているのか」と「薬を持っているのか」
私は頭痛薬などを持って行ったのですが、「薬を持っている」と言ったときに相手の顔がちょっと変わりました。ですが、ロシア語で書かれたサーティフィケーションを見せると、「ああもういいよ」と理解してもらえたようです。
おそらく旅行者の多くが薬を携帯すると思いますが、中央アジアで陸路越境をするときはロシア語の証明書を携帯しておいた方が無難かもしれません。まあウズベキスタン側でも再びシェパードが乗り込んできましたし、吠えられなければ大丈夫だと思いますけど。
そんなこんなで無事入国を果たし、首都タシケントの旅客駅に。ここからウズベキスタンの旅がはじまります。
(前記事:カザフスタン鉄道乗車記①/カザフスタン鉄道乗車記②)