神戸のディープな路地裏散歩① ムスリムモスクからシク教寺院まで!

神戸は幕末の開港以来、日本随一の国際港として栄えました。そのため西洋人や華僑そして印僑(インド人)など貿易を担う外国人が居住し、国際色あふれる町となっています。


こうした外国人の祈りの場として、明治以降色々な宗教の寺院が建てられてきました。かつてコンテナ取り扱い個数が世界2位だった神戸港も、当時ほどの勢いはありませんが、それでも今なお面白いコミュニティーが広がっています。


というわけで、今回は観光コースではない神戸の街歩き!それでは出発です。

www.google.com


シク教寺院

f:id:Antonov-24:20211224234903j:plain:w550
シク教ヒンドゥー教から派生した宗教の一つで、主にインドで信仰されています。インド人と聞いたら、あたまにターバン巻いた髭のおじさんを想像するかもしれませんけれど、あれがシク教徒です。シク教徒は海外貿易で大活躍したので、インド人=ターバンみたいな固定観念が生まれたそう。



f:id:Antonov-24:20211224234918j:plain:w550
入口上のマークは「カンダ」と呼ばれ、シク教徒のシンボルとなっています。丸い円は神を現わしているみたい。ヒンドゥー教と同じで解脱を理想としますが、大きな相違点は神の前での人々の平等を説いていること。日本ではあまり馴染みのない宗教ですけれども、面白そうです。(What is Sikhism? - BBC Bitesize


f:id:Antonov-24:20211224235504j:plain:w550
ジャイナ教もインド生まれ。紀元前6世紀からですから、相当古い宗教です。高校世界史ではお馴染みですが、ジャイナ教は戒律が非常に厳しく、徹底した禁欲主義で、おまけに動物や植物には霊魂が宿っているから、食生活にも色々な制限があるみたい。


f:id:Antonov-24:20211224235511j:plain:w550
インドに行かないと縁が無いのかと思っていたけれど、神戸にジャイナ教寺院があるのは驚き。ゾウの彫刻がなされた門はインド感満載です。


f:id:Antonov-24:20211224235721j:plain:w550
神戸に暮らすユダヤ教徒ロシア革命の時にハルビンを通って神戸に逃げてきた白系ロシア人という人々の子孫が多いそう。ヘブライ語って、文字からして難しそう。


神戸ハリストス正教会

f:id:Antonov-24:20211225114910j:plain:w550
こちらは丸屋根が特徴的なロシア正教会。京都の丸太町にも立派な正教会がありますが、それとは違って神戸のは結構こぢんまりしていました。


f:id:Antonov-24:20211225000103j:plain:w550
日本最古級のプロテスタント教会。今の建物は4代目で、1932年完成。あとで登場する神戸ムスリムモスクとともに、神戸大空襲も阪神淡路大震災も乗り越えました。


f:id:Antonov-24:20211225000438j:plain:w550
神戸は華僑の一大コミュニティーがあるのですが、山手の県庁の近くに関帝廟があります。はじめ関羽は優れた将軍として慕われたそうですが、次から次に色々な伝説が付け加えられて神格化されました。そろばんを発明したとの伝説があり、商売繁盛の神様として中国華僑が崇拝しているみたい。


関帝廟孔子廟と並んで、台湾でたくさんお参りしたので懐かしいです。


f:id:Antonov-24:20211226115242j:plain:w550
関羽様」だそうです。三国志好きにはたまらないのでは?わたしは孔明推しですが。


神戸ムスリムモスク

f:id:Antonov-24:20211225000643j:plain:w550
神戸の町並みに突如現われるミナレット。1935年に建てられた日本一古い、「神戸ムスリムモスク」です。モスクの近辺はパキスタン料理屋やハラル食材を扱う食料品店が立ち並び、さながら異国のよう。羊料理は大好きなので、そのうちお店を開拓したい。



f:id:Antonov-24:20211225000657j:plain:w550
ここのモスクは異教徒でも誰でも入れるので、お邪魔させてもらうことにしました。モスクに入るのはウズベキスタンサマルカンド以来!!


「こんにちは」と挨拶すると、受付にいたマグリブ系のイケメンが「どうぞ!」と快く迎えてくれました。ちなみにモスクの1Fは男性、2Fは女性専用の礼拝堂です。あ、一応言っておくと私は(もうとっくにバレていると思うけど)男ですので1Fです。ブログの一人称は当たり障りないように「私」にしています。


モスク内は撮影禁止です。真剣な祈りの場ですから、写真目当ての人が押し寄せても困るだろうし当然でしょう。ただ、ものすごく綺麗だったので、紹介できないのが少し残念。


f:id:Antonov-24:20211227003534j:plain:w600
下手な絵で恐縮ですが、まぁ雰囲気だけでも。

中央にドーム状の聖壇があって、こちらがメッカの方向です。右にはその日のお祈りの時間(金曜以外1日5回)が書いてあり、上にはコーランの一節が刻まれています。天井からはシャンデリアが、床はふかふかのペルシア絨毯(たぶん)です。



f:id:Antonov-24:20211225000747j:plain:w550
コーランの日本語訳もらいました。あれって訳していいんだっけ?


礼拝堂に入ると、お祈りをしていたお兄さんに「なにか聞きたいことありますか?」と声をかけられました。そして唯一の創生主アッラーについて、最後の預言者ムハンマドについて、さらにイスラム教の世界観について解説してくれました。


「あなたがアメリカに行くときにはすぐいけるわけじゃないでしょ。パスポート、ビザ、いろいろ用意する。私たちムスリムは来世のために日々修行してお祈りするんです。」



お兄さんに、モスクに来るのはどこの人が多いのですか、と聞くと

「インド、パキスタン、いっぱいいいる。だけど、私たちはお互いどこの人かわざわざ聞かない。私はバングラデシュだけど、パキスタン人と話さないなんてことはない。みんなアッラーの前では同じ人」

こういう考え方、すごく好き。みんながそう考えれば少しは世界が平和になるのに。



お兄さんと話すうちに、私がどこから来たか問われ、「京都です」と答えると、
「わたしも京都にいた」


なんと、2003年に私の大学の法学研究科に留学していたそう!!たしかに留学生は比較的多い大学ではあるけれど、こんな偶然ってあるのでしょうか。いやー、びっくりした。


antonov-24.hatenablog.com