さて翌朝はウィーンの郊外に一日小旅行します。郊外列車に揺られること1時間ばかり、やってきたのはヴァッハウ渓谷のメルクという町。
丘の上にそびえるバロック建築の優美な建物は、町のシンボルであるメルク修道院。
あまりにも大きくて、全体が写真に収まりきりません^)
ベネディクト派修道院ということは戒律が厳しいはずだけど、この建物はまるで郊外の貴族の城みたいです。愛称は「ヴァッハウの宝石」。
現在の修道院の建物が造られたのは18世紀のはじめ。
そのころのオーストリアは、長年の脅威だったオスマン帝国が弱体化してゆとりができた時期でした。皇帝や貴族、聖職者たちは自身の力を誇示すべく、競うようにしてウィーンやその郊外に壮麗な館を建てたのです。
せっかくなのでガイドツアーで中に入ってみます。
修道院ははじめてなので緊張する。
大広間の天井一面には巨大なフレスコ画が広がります。
案内のおばさんの話では、修道院を見に来た貴族のお客さんのために、メルクの町をあげて芝居だの祝宴だの花火だの贅沢にもてなしたそうです。やっぱり修道院というよりは、聖職者が自分の力を見せつける意味合いの方が強かったんじゃないかなぁ。
メルク修道院の壮麗な建物はウィーンでも定評でした。あのマリー・アントワネットも、ルイ16世のもとに嫁ぐためパリに向かう途中、この修道院で1泊したらしい。
窓から見下ろすウィーン郊外の森が絵画のように美しかったです。
続いて外の回廊を通って、この修道院の目玉の図書館へ。
9世紀からの蔵書が10万冊も収納されているそう。紙って中国の発明ですが、9世紀にはヨーロッパには伝播していなかったのでは?羊皮紙の本なんて残っているんですかね?
聖杯とか十字架とか宗教画がなければいったいここはなんの建物なのだろうと思ってしまいますが、やっぱり修道院。続いて礼拝堂に入ってみます。
ドームの中に入るなり、キンキラキンキンの世界が目に飛び込んできました。
内装も豪華絢爛すぎて、やっぱり修道院とは思えませんね(笑)
しかしこの手のフレスコ画ってどうやって描いているんだろう?
中にやぐらでも建てるんでしょうけど、筆を握るとき、すごい体勢になる気がします・・・
最後はお庭に出てみます。これが広くてまたびっくり!
だだっ広い平原ってなんか新鮮です。
メルクの町はこじんまりとしているけれど、ぶらぶらするにはもってこいでした。
ドナウ川に沿って広がるヴァッハウ渓谷には中世の古城や僧院が点在していて、世界遺産に指定されています。メルクからクレムスという町まで航路があり、どうせなのでその船に乗ってみることにします。
メルクを出てまず見えてくるのは12世紀に築城されたシェーンビュエール城。
いまでも伯爵家の一族が所有しているそうです。
たまねぎ型の屋根が可愛い。
続いて見えてくるのは修道院の建物。もともと貴族の館があったのですが、主人がいなくなってから幽霊が出て悪さをするとのことで、修道士がここに居城をつくったそう。
アックシュタイン城は13世紀に建てられたお城。むかしこのお城を持っていた騎士がドナウ川を行き来する船を襲ったため、人々は「恐怖の森」と呼んで恐れたのだとか。
見学もできるようですが、いったいどうやって登るんだか。
まあ、こんな感じで川の流れに沿って小さな村々やたくさんの城や修道院、あとその廃墟なんかが点在していて、2時間弱の船旅でも飽きることはありません。
ちょっと短いですけど、次記事との兼ね合いで今日はこのへんで。
今日もありがとうございました。というわけで続きます!