台湾からはじめる列島横断3日目。今日は高雄から台東まで列車で移動します。
実は今回、訪台した理由の一つは「日本の昔ながらの列車に乗る」ことでした。これから乗る南廻線では1日1往復だけ日本製の旧型客車「普快車」が定期運行しています。
自分みたいなギリギリ20世紀生まれの若者にとっては客車に乗ったことなんて数えるほどしかないし、まして冷房もない列車なんてありえない!
ただどこか自分は昔のものに憧れているようなところがあるので、「日本で乗れないなら海外に行くしかないでしょ!」というわけで、はるばる台湾まで来たわけです。
早起きして高雄を7:12に出る自強號301に乗り、普快車の出る枋寮に向かいます。昨日歩いた下淡水渓鉄橋も通りますし、車窓からは阿里山の高峰も眺めることができました。
というわけで8:10に枋寮に到着。台東行きの「普快車」は10:40発なので2時間30分時間を潰します。あまり旅行者はこないようなので街を歩いていると、心配して「どこ行くの?」と呼び止められ…
中国語ぜんぜんなので会話に困りましたが、奥から日本語のできるおじいさんが出てきて通訳してくれました。
台湾の方、本当にみんな親切です。まあ漢字は結構似ていますから、中国語わからなくても最悪、紙に漢字を書いてコミュニケーションできますけど(実際やった)。
自分のように普快車に乗る目的で枋寮にやって来た人は列車が来るまで手持ち無沙汰になるでしょうから、列車の撮影ができるスポットの簡単な紹介。
駅から台東方面に少し行ったところに「枋寮鉄道芸術村」というアート作品を並べた公園があるのですが、そこから列車の撮影ができます。
上の写真は高雄行き「自強號」。ただ午前中は思いっきり逆光です……
線路端でボーと時間を潰している内にお目当ての「普快車」が回送されてきました。
枋寮だけに棒が邪魔だけど、思わぬベストショットが撮れてちょっと嬉しい!
というわけでいよいよ列車に乗り込みます。ちなみに台湾ではホームのことを月台(ユエタイ)といいます。漢字の組み合わせも響きも優しい感じなので気に入りました。
「うわぁー!これは凄い」と少し興奮気味。
列車は3両編成。先ほど「日本の列車」といいましたが、実は3両目はインドから来た客車なのです。日本とインドの列車が台湾で一緒に走っているって不思議…
こちらは日本の客車。シートは変わっていますが、あとはほとんど改装なし。これぞ昭和の旅情!(知らないくせに…)
窓が開くのっていいですね。日本で窓開けたら、ひんしゅく買いそうです。
いよいよ出発。これから2時間強の鈍行列車の旅が始まります。
出発してすぐ、列車はバナナ畑の中を進んでゆきます。この南国ムードがたまらない!
扉の開け閉めを車掌さんが手動でやっている…。
途中の駅で停車。ここら辺の駅は1日1本しか列車がこないそうです。
加禄駅を過ぎると右手に真っ青な台湾海峡が広がります。
夏を謳歌しているって感じで満足。今年の8月は集中講義とアルバイトで消えてしまい、夏気分を味わうことがなかったので、ちょっと嬉しい。海風も心地よいです。
こちらが台湾最南端の枋山駅。
ちなみに将来的にはさらに南部にあるリゾート地、恒春まで鉄道を通すそう。
枋山駅から先、列車は山沿いを進みます。しばし青い海ともお別れ。またまたバナナやパイナップル農園が現れました。
日本だけでなく今まで訪れた数カ国で鉄道に乗ってきましたが、南廻線より景色の良い路線に乗ったことはありません。すっかり台湾の虜になってしまった(笑)
中央号誌站で停車。駅かと思ったら信号所だそう。四方どちらをみてもヤマヤマヤマ!
密林を通り抜け、やっとこさ東海岸の大武駅に到着。
時間調整で暫く停車するのでちょっと撮影タイム。乗客も数人しかいなかったのでのんびりしています。これが日本だったら鉄オタが走り回って大変だろうに…
やっぱり台湾いいなぁ…。月1ぐらいで来たい。
台湾で就職とかできないんですか?もう帰りたくないんですけど…
なんて冗談(半分本気)は置いておいて、そろそろ発車するので列車に乗り込みます。
ああ…なんなんだこの美しさは…
まともなコメントすらできず、景色に見とれている内に終点の台東駅に到着。
もういやだ…帰りたくないっていう気持ちが増しに増して抑えきれなくなってきました。正直、台湾がこんなにも良いところだとは行くまで思ってもみなかった。台湾にはまる人、結構周りに多いですが、その理由よく分かりました。
景色も食事も文化も人も全てが良い・・・地上の楽園です。
というわけで「普快車」とはお別れ!またいつか乗りに来ます!
ちなみに南廻線では電化工事が着々と進んでいるので、「普快車」がなくなる日も近いようです。気になる方は早めに訪台してください。
(【追記】2020年で普快車の定期運行は終了しましたが、この客車はリニュアールして観光列車として再デビューするそうです!)
到着したのはもう2時近く。着くなり早速駅弁購入です。台東駅は街から相当離れたところにあるので、周りには食堂も何もありません。
この日は台東で1泊しますが、まだ宿に行くには早いので、再び鉄道に乗って、少し郊外にある日本人の開拓村跡に行きたいと思います。
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